レポート

Case01株式会社サクセス

行政の福祉化を進めるにあたっては、障がい者や一人親やホームレスといった一般企業では雇用されにくい人たちの働く場をつくる視点が大切になってきます。営利だけを目的とするのでもなく、福祉的就労(就労継続支援A型・B型事業所、地域活動支援センターなど)でもない「中間的な職場=ソーシャルファーム」が注目されています。ここではさまざまなソーシャルファームの取り組みをレポートします。

「誰もが健康に働き続けられる環境づくり」を目指し「自立支援推進室」を設置

 株式会社サクセスの主な事業はビルの清掃や保守管理、警備を行うビルメンテナンスです。清掃では、障がい者やホームレス、高齢者、ひとり親家庭の親などさまざまな背景をもった人たちが多く活躍しています。特に障がい者雇用に関しては、15年連続して法定雇用率の5倍の障がい者雇用率を維持しています(2021年現在)。

 この高い障がい者雇用率の維持に役立っているのが、「自立支援推進室」です。おそらく、全国のビルメンテナンス企業で初めて設けられたこの部署は、障がい者が働き続けられるように、地域の支援者とかかわりながら当事者支援をしていく大事な仕事です。清掃現場ではいろんな背景をもち、配慮が必要な人が働くことも珍しくなく、できる限り現場に出向いて現場と本社の橋渡し役となり、気持ちよく働ける環境づくりを進めています。

 また、10年以上働き続ける障がい者も珍しくなく、最近は働く人も高齢化してきています。すると、仕事だけでなく生活面を支えることが必要になり、家族の高齢化や家庭環境の変化に対応できるように、定期的に家庭訪問を行ったり、職場を離れたサポートも心掛けてています。時には、本人のグループホーム入居手続きや両親の介護設計などもしています。

 このように、組織として障がい者雇用から誰もが働き続けられる環境づくりに取り組んだサクセスさん。自立支援推進室の担当者が仕事量の調整や現場トラブルにも対応できるような体制をつくることは、障がい者雇用の質のみならず、職場環境のこれからのありかたを示しているのではないでしょうか。

企業名株式会社サクセス
HPhttps://success-tbm.com/others/
事業内容ビルメンテナンス事業、道路メンテナンス、ホテル管理業務、プール管理業務など